アメリカと日本の住宅価格は3〜5倍も違う!!

アメリカの住宅価格

 

住宅建設を管轄する役所はいうまでもなく建設省ですが、設備や部材まで入れると実に多くの官庁が関係しています。部材の規格JISマークや電気設備は通産省、JASマーク木材規格は農水省、水道設備は厚生省、職人などの労災は労働省、消防設備は消防庁、輸入関税は大蔵省といった具合に定められているのです。基本的には、これらすべての関係省庁に申請し、許認可を得なくてはならない訳です。この複雑さと呼応するかのように、建設に関係する業者も多様であり、また、それぞれの工事設備費も高くなるのです。アメリカの住宅ならば、40坪くらいの広さの住宅の基礎工事費は40万円程度ですむのです。

 

ところが、日本では基礎コンクリート業者の最初の見積もりは何と200万円もかかるのです。アメリカの三倍なのです。値段の高さもさることながら、値切れば半分以下にまでなってしまう価格設定のあいまいさ、いいかげんさにも腹が立つのです。また電気設備や給湯設備、排水設備などの設備工事費も、基礎工事込みでアメリカならせいぜい150万円ですむのですが、日本の業者が出してきた予算は630万円、4倍近い値段なのです。これにはため息が出るのです。

 

設備機械の価格も実に高いのです。たとえばエアコン設備などがそうです。高気密、高断熱の輸入住宅、特に北米住宅にはセントラルエアコンは欠かせない設備ですが、ダクトエ事まで含めてすべての設備がアメリカでは50万円から80万円で設置できるのです。日本では200万円から250万円も必要になります。やはり3〜5倍の出費となるのです。さらには、主婦を中心に人気が高く、最近の新築住宅の必需設備ともなっているシステムキッチンにしても、何と1000万円を超える価格のものさえ日本にはあるのです。住宅価格の一割を超える例もめずらしくないのです。

 

本来、使いやすく機能性が高いのがシステムキッチンの特徴なのですが、日本のそれは多分に流行やデザイン重視の場合が多く、それがまた必要以上の高級化をうながしているのが実状です。それにしても台所の仕様が住宅全体の価格の10%を超えてしまうのはまともな価格体系とはいえないでしょう。システムキッチンはキャビネットや天板部分、電気、水道、ガス器具部分などに分かれますが、これを前述のように、部分ごとに指定の専門業者が材工一体でそれぞれ工事を担当する仕組みになっています。その工事技術のレベルは、はっきりいって日曜大工程度で十分可能なものなのです。

 

実際、アメリカのシステムキッチンはDIYによるものが多く、住人が自分で工事修理できるように、部材や道具の開発、販売システムも進んでいます。しかし、わが国では指定の専門業者が分業で行うのです。規制による一部業者の既得権の保護のためと非難されてもしかたがないでしょう。業界の複雑で多層な構造、非合理的な価格体系、規制の多さ、工事・設備費の高さなどが重なりあった高価格システムが根づいてしまっているのです。その「かたまり」がアメリカの3〜5倍もする住宅価格であり、私たちはツメに火をともして、その必要以上に高すぎる住宅を購入しているのが現実です。生活大国とはいったいどこの国の話かと思わざるをえない状況が日本の住宅事情なのです。日本の住宅価格高すぎるのです。

 

 

労働生産性比ではアメリカの2倍の賃金となっている日本

アメリカの賃金
日本の住宅価格は「現場で決まる」ともいわれています。つまり、人件費が建設費に占める割合が極めて大きいのです。かりに住宅資材の50%を安い輸入資材でまかない、そのぶん建材費が安くなったとしても、実際には住宅の価格はさほど下がらないのです。経費や労務費がアメリカの2倍以上かかるからなのです。それほど人件費(職人たちの手間賃)は高いのです。だが現在、日当2〜4万円か相場といわれる賃金の金額そのものが絶対的に高いとは思わないのです。アメリカでも大工職人の賃金は決して安いものではないのです。問題は金額の多い少ないではなく、作業内容や労働効率に比して賃金が相対的に高く、それが住宅コストにはねかえってくるという点なのです。

 

つまり日本では、住宅建設にかかわる技術者の労働生産性が低いのです。わかりやすくいえば、一般的に「日本の大工職人は高給とりのわりに働きが悪く、技能も高くない」傾向があるということなのです。職人一人につき一日当たりの賃金は、数字だけを比較すれば、アメリカの職人のほうが2倍近く高いのです。しかし工事の所要日数は2分の1、必要人数も2分の1ですんでいるのです。したがって、生産効率としては安くすむ計算になるのです。労働生産性は、アメリカのほうが4倍高いのです。日本はその4分の1の生産性しかないのです。言い換えると、日本の職人は金額的にはアメリカの2分の1でありながら、生産性を勘案すると、逆にアメリカの2倍の賃金をもらっていることにあるわけです。賃金を同じ水準にした場合、わが国の住宅建設業界の生産性はアメリカの牛分しかないということでもあるのです。

 

 

日本の職人よりも効率の良いアメリカの職人!!

「生産性の低さ」は、彼らを現場で管理する立場にある私の実感でもあります。以前、ある商社の依頼により福島県で2×4工法によるホテル建築にかかわったことがあります。このときフレーミング工事をアメリカ人の職人10人に担当させ、別棟の同じ工事量を日本の職人10人にしてもらったことがあります。同じ図面、同じ材料を使わせて競争させてみたのです。アメリカチームは予定どおりの2か月半で完全に仕上げたのに対し、日本人チームは4か月半たってもまだ完成にはほど遠い状態だったのです。日本の技術者の生産性の低さは、たとえば仕事の密度によくあらわれています。日本の職人の一日の仕事ぶりは、朝は8時ごろ現場にやってきて、夕方4時ごろには、道路がこむからなどと理由をつけながら早々に引き上げてしまうといったケースが多いのです。その間も、やたらと一服したりお茶を飲んだり、仕事の密度や集中度が低く、一つの工程に必要以上の人数で取り組んだり、手順や連携が悪かったり、作業全体を通じて要領に乏しくムリ、ムラ、ムダが多いのです。一方、アメリカの技術者は朝の7時には仕事にとりかかり、夕方の5時、6時まで行う。2〜3時間に一度、15分くらいの休憩をはさみながら密度高く仕事をこなすのです。

 

あまりかと職人また仕事の分業、役割分担が明確で、作業内容、作業工程とも合理的に組み立てられ、図面や計画にそって効率よくスムーズに進でいました。したがって、時間ロスも少なく、ムダがないのです。両者が並んで仕事をしているのをしばらくの間見比べてみれば、日本人がいかにムダな動きをしているか、アメリカの技能者がいかに効率よく作業をしているか一目瞭然だったのです。さらには、道具の使い方などもムダがなかったのです。アメリカの技能者は腰にガンベルトのようなものを巻き、そこにハンマーや巻尺、釘袋、チョークなど必要な道具一式を身体のまわりにいつも装着して作業をしていました。日本の場合は、釘箱はあっちに、鋸はこっちにおいてありで、そのつど道具を求めて技術者がうろうろするような按配でした。その道具の性能もアメリカのもののほうがすぐれ、種類も格段に多く、また技術者が道具を正しく、効率よく使用するノウハウにも精通しているように見えました。

 

彼らは専門的な技能教育を体系的に受けており、道具の扱い方から図面の読み方はもとより、基本となる木材の知識までしっかり身につけているのです。すべて、日本の技術者には欠けているものばかりのように私には見えました。スキルだけでなく、仕事の進め方や工程管理も、熟練したプロといえるのです。一方、日本の職人は狭い範囲の専門的な技量にはすぐれていたとしても、一般的に仕事全体や作業工程を合理的に効率よく進める能力や手法に乏しように見えました。それが結果的に、多くの人と時間をかけても作業があまり進行しないという労働生産性の低さに通じ、人件費をコストアップさせて、住宅価格を押し上げる一因となっているのです。